今から12年前。
当時FMラジオ・テレビ・MCとして活動していた私。
おかげさまで仕事は順調で、ピークの時は
365日生放送があり、休みがなかった。
大好きな仕事。
大好きな音楽。
毎日緊張感のある本番が続くうち、よくない変化が起こり始めた。
いつしか仕事が「義務」のように思え、
あんなに大好きだったライブも
「行くのが面倒だ」と、思ってしまう日すらあった。
3日に一度は、生放送に遅刻する夢や本番で失敗をする夢を見た。
そんなとき、ある人から、
「仕事と全く関係ない趣味を見つけたら?例えば…心にもいいって言うし、ヨガでもどう?」
と言われた。
私のことを心配して、遠回しに「休め」と言ってくれたその言葉通り、その日にホットヨガLAVAの体験予約をした。
なぜLAVAだったか?
「札幌駅 ヨガ」と検索して一番最初に出てきたから。ただそれだけのことだった。
スタジオに入ると、明るい茶髪で、ネイルが可愛い20代前半の講師が迎えてくれた。
もっと年上で、知識の年輪を重ねたようなヨガ講師を想像していたから、肩透かしをくらったようだった。私は、少し斜に構えてマットに腰掛けた。
その若い先生は、安座の呼吸観察からクラスを始めた。
「吸って、吐いて」ー
徐々に心が落ち着いていくのが感じられた。
ー呼吸を感じるなんて、初めてだな。
そして、しばらく呼吸に身を置いていると、その、若いインストラクターはこう続けた。
ー私たちは、いつも、時間を誰かのために使っています。ヨガの時だけは、自分のために時間を使ってあげましょう。
その言葉を聞いた時、
何の感情があったわけでもなく、自然と、ぶわぁーーっと、涙が込み上げた。
心の反応よりも先に、ただただ、体が反応して、涙が出た、という感じだった。
肩で息をする毎日。
時間は、誰かのためのもの。
ラジオの時間は聴いている人のために全力を尽くす、一分一秒の世界だ。
家に帰れば、家族のために時間を使う。
そうして、1日が終わり、また早く起き、生放送の準備に取り掛かる。
それが当たり前だった私に、その人は、